
朝、山小屋を出ると霜が降りていた。
まだ夏の終盤という気分だったけれど、季節が変わった事をこんな光景で知らされます。
夜は寒くって中々寝つけず、相部屋の人達を起こさないように真っ暗闇の中で予備の布団を漁ったけど、目が覚めると湿気った敷布団を掛けて眠ってました。
確かにもう夏は終わるけど、その前に雲上散歩をして今年の夏山を締めくくろう。

散歩道の始まり。
高曇りでガス無し、紫外線バテの心配無しの絶好の稜線歩きのコンディションです。
前日までは雨と曇天だったので、尚更今日に感謝!

右手が故障してるので、岩岩ゾーンをバランスとって稜線まで登ってくるのは疲れたけど、今からの時間を楽しんで、また帰りにあの道を下る事は一旦忘れよう。

本当に私は歩くのが好きなんだと思う。
気持ちの良い場所ならずっと歩いていたい。
天辺をサッとナイフで削ったように続く道は、人が何かを付け加えなければ地球は最高に美しいって事を証明しているかのようです。

いつまでも歩きつづけたいけれど、日常に戻る時は直ぐにやってきてしまうので悲しい。
何度も景色を焼き付けつつも、心は紅葉の季節へと向かっているのでした。

実際、夏山ならば選ばないメニューの焼餅が本当に美味しかった。
手をかざしながらお餅が焼けるのを待ってる自分に、寒さを楽しむ日本人としての哀愁を感じちゃいました。
下山中、岩ゴロゴロゾーンを抜けて一息つき、のんびり歩き出した途端、

キツネ現る!
数メートル先で私と睨み合いになった時、ホンドキツネは警戒心が強いときいてたのでパッと逃げるかと思いきや、どんどんこちらに向かって近づいてきました。
ほとんど足元まで接近したので、かがんで写真を撮ろうと身を沈めようとした瞬間、サッと茂みに飛びのいた。
野生のキツネとの接近は初めてで、生き物と出会うと嬉しいですね。
熊と猪以外ならいつでも大歓迎です。