2016年09月02日

懐かしい道へ

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登山をしない人でも、尾瀬という場所の事を知っている人は案外多いと思います。
私も30年ほど前に良く知らないまま、とにかく歩けばいいんでしょ、くらいの状況で登山口からスタートしたのが、尾瀬の大清水でした。


それは東京が新緑まばゆくなる頃だったのですが、尾瀬はというと、残雪期真っ只中。
グッチャグチャに半解凍された雪があっちにもこっちにも、という有様。
道中は退屈なほど変化がなく、いつまでもいつまでも同じ光景が続くので会話も少なくなり、正直この苦痛がいつまで続くのか、次のカーブで終わらないのかと、そればかりを考えながら登り続けた。

当時は今とは比べものにならないくらい、へなちょこな装備で、そんな状況も相まって一発でこの道が大嫌いになってしまった。
でも、沼田〜尾瀬〜会津の道を開通させた真田信幸の時代、私のへなちょこ装備なんてものじゃない足回りでこのルートを登っていただろうから、装備ではなく私の精神力がへなちょこだったのだろう。


以来、何度も尾瀬を訪れているけれど、大清水口から尾瀬に向うという発想は全く浮かばなくなったが、8月の後半に福島側の檜枝岐で待ち合わせという計画が持ち上がった。
いつも使う鳩待峠から入ると尾瀬横断で距離20キロ、始発電車で路線バスに乗り換えると、夕方までに福島側に抜けるには私の足ではあまり余裕が無い事が判明し、あの最悪な思い出の道を歩くという選択が浮上したのです。


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訪れたのは日曜日だったのに大清水は人もまばらで、静かな森の中。
バスは私と燧ケ岳をテント泊で登るという男性の2人だけでした。

到着して驚いたのは、登山道序盤の林道終わりまで低公害車のシャトルが運行されてた事で、随分とルート短縮になってる事も知らなかった。
バスが到着して降り立った私とテント泊男性に運転手さんから声がかかったが、シャトルに乗らず、登山道へと向かって行く。
ちょっと乗りたい気持ちもあったけれど、そもそも20キロ予定を縮めてこのコースを選んだし、昔の苦い記憶が今でも同じ印象か、同じ道中を歩いて確かめたかったのだった。


私の装備も良くなって、歩きやすい夏道はあの時とは比べものにならないくらい快適。
真夏だから日差しを遮る樹林帯はありがたく感じる。
でも、やっぱり私はこの道は好きになれそうもない。


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それでも、秋めいて来た尾瀬は貸し切りのような静けさに包まれていて、美しかった。
体力だけは旺盛だった学生時代の自分と一緒に歩いているような気分で、ちょっと味わったことがないような不思議な感覚を体験できて、貴重な一日でした。
posted by AKA at 19:44 | 山旅