柄が込み入っていればさほど目立たないのですが、お太鼓柄の背景にシミがあると、見慣れている本人は余計に気になってしまうものです。

紗の刺繍帯、私にとっては夏帯は枚数が多くないだけに貴重。
でもシミ抜きは出来そうもないから、この帯はどうしようもないなと思っていたのですが、そうでなくても紗は繊細なので、シミの部分から劣化している様子なのです。
切れてからじゃ遅いので、とりあえず目立たない接着芯を裏から当てました。
するとその部分が透けなくなったせいか、シミが目立つ様になった気がする。
@ そのままにして、夜とか目立たない時間帯で使う。
帯を点検するように眺める人はいない?・・・という超楽観的予想。
A図案と似た色で刺繍を加える。
悩んだ挙句 A を選択したのですが、次なる問題は図案ではなく、絹の刺繍糸です。
そこらの手芸屋には売ってない・・・、最低オカダヤくらいまで買いにいかないと・・・、しかも必要なのは修正くらいの量だし・・・。
ということで、近所の手芸店で絹の穴糸を買ってきた。
これなら300円もしませんが、このままでは刺繍には全然不向き。
まずは3本で撚ってある糸を解し、カーリーヘアみたいにチリチリになった糸を何度も何度も扱いて、ピンッと張ってから撚りのクセを取るように上からアイロンを当てました。
すると案外いい感じの絹刺繍糸の出来上がり。
やっぱり必要は発明の母だ。
一本作るのに要した手間も結構なものだけど。

魚の尾っぽ辺りから笹の先の小枝みたいな部分を加えました。
図案的にはかなり無理のある構図・・・。
それでも 不自然な刺繍 VS 醜いシミ ならば刺繍の勝利のように思えたので、ちょっと自己満足です。
・ビーズ刺繍をした帯 へ
・漆のキズ新修理方法 へ