2009年11月16日

設備もないのに漆の修理

アールデコスタイルの薔薇と蝶がモチーフになった簪。
カワイイ・・・・けど、螺鈿はクラックやカケや剥離、漆は濁りあちこち剥れ。

一部のカケ程度で全体的に問題ない状態が保たれているなら、1万円以上しても修理に出すだけの価値があるのでしょうが、この簪は全体的にダメージが大きすぎてそんな状況でない外見でした。
だけど魅力的な要素もあって捨てるに捨てられない。
そういう微妙なオーラのある品物って厄介なんですよねぇ。

これはダメなのかも?と思いつつも、普段使いとして最後の時間を過ごさせてあげたいなぁという気持ちもある。
そういう開き直りと、あまりに極度の勿体無い精神から、自分で漆がけにチャレンジすることにしました。

かんざし091116.jpg

密着する手袋を着けて漆を搾り出し、「 こんな事まで始めちゃったよワタシ 」 と自分を嘲りつつ、思ったより普通に塗れるじゃないかと、あまりに手軽に終了したのが意外だった。
濁っていた螺鈿部分の貝を極細かい耐水サンドペーパーで磨いてから漆を塗ったので、職人技とはいかなくても黒々としてると案外何とか使えるのではないか? とちょっと嬉しくなった。

だが喜んだのはここまで。

何日置いても乾かない。

どうして調べてから作業しなかったんだ? と自分でも不思議だったけど、「 塗ればいいんでしょ 」 くらいの適当な気持ち100%だったので、バカとしか言いようがない。

“ 漆は塗るより乾かすのに最も技術を要する技法 ”
“ 漆は湿度80%前後を保たないと乾かない ”

という事実を知ったのは塗っちゃった後。
どうすんだ?
このパサパサと言っていいくらいの秋空の中、湿度80%をキープとは。
しかも温度は25℃程度、空気が動かない状態を保ち、水滴が漆に付かない状態にする、となっている。

簪091116.jpg

必要は発明の母というが、人は追い込まれると何とかするものです。
水を入れた透明なピッチャーにさらに容器を入れてそこに簪を固定し、布巾で水滴が落ちないようにしてから蓋をして、暖かい場所で温度が上がるように設置しました。

あんなに何日も乾かなかったのに1日で乾きました。
小さい物で良かった・・・。
そう思った後、冬の準備でランの温室を設置していて、「 ココがあったじゃないか!しかもサーモスタットも完備してるし・・・ 」 って事に気付いてがっくりした。
下駄の修理の時は、是非温室を試そうと思いました。
posted by AKA at 12:47 | 着物のお手入れ 着付け