氷とか冷たい物を連想するような模様を夏に着て、鳥肌が立つ真冬を思い浮かべて、気分だけでも涼しく (寒く?) なろうという無茶な心意気が昔の人にはあったらしい。
寒い季節を象徴するような雪輪とか結晶とか、雪の結晶を花に見立てた雪華などが夏の着物では一般的に使われていますね。
すごい視点の発想だと思う、現代人としては感嘆するばかりです。
竹の柄の着物に雀の柄の帯で 『舌きり雀』 (昔話パターン)
手毬の模様の着物に猫の柄を帯に使えば、『 玉にじゃれる猫 』 (よくある情景)
松本さんに会うとき松の模様(直球)、島崎さんに会うときに縞模様(変化球)など、会う相手に対して心配りと親愛の気持ちを表すコーディネートをしたりする。
もともと洒落とか駄洒落とかには、教養がある程度必須要素なんでしょうね。
それにそんな楽しく魅惑的な着物生活を実践するには、相当の衣装持ちでないと無理。
つまり、そんな洒落心を持ち合わせたのは、当然教養もある上流の方々でしょうけど、少なくともそういう文化が昔の日本にはあったという事に興味が湧いてくる。
今回の 『 雪うさぎ 』 は唯の偶然の出来事で、そんな通人みたいな世界は遥か別世界の事です。
この兎の帯はメッシュ織の夏帯なのに、柔らかくて締めやすいものだから 「 ウサギだし♪ 」 と冬でも家で使ってしまう・・・、もはや季節のルールなど無視する無神経さが現状です。